つのの細道(アテネ)

  
 1977年の芥川賞は、池田満寿夫の「エーゲ海に捧ぐ」でした。
 この本を買って読みましたが、何だかよく解りませんでした。
 ただ、その「エーゲ海」という響きは、
 甘美で、芸術的なヨーロッパとして、インプットされました。

 それで、エーゲ海に行ってみたいと思っていました。
 エーゲ海には、アテネからクルージングで行くのが一般的でしょう。
 でもアテネへは、今も日本から直行便が出ていません。
 パリから飛行機で、アテネへ行きました。

 ギリシア国民のいいかげんさは、オリンピックで周知のこととなりましたが、
 20年前の私は、全く無知でした。だから、アテネに着いた時、
 「これもヨーロッパかあ??」と、かなり打撃を受けました。
 
 何ともホコリっぽく、どこもかしこもゴツゴツしています。
 歩道なんかも、いきなり陥没していたりします。
 緑も少なく、土地も人間も乾いていて、水気が足りない、というかんじでした。
 「早くパリに帰りてえ〜」と思ったほどです。
 
 パルテノン宮殿もパルテノン宮殿で、どうってこともなく、
 2500年前の文明に私が感動することもありませんでした。
 こうして自分が古代遺跡に何の興味も示さない人間だ、と知ったわけです。
 まあそれも、見てみて解ったわけで、実際見るまでは、意外に気付かないものです。




 そして、憧れのエーゲ海はどうだったか?というと、写真で見た通り芸術的でした。
 エギナ島、イドラ島、ポロス島を巡りましたが、
 海は蒼く、太陽がまぶしくて、白い外壁が目に痛いほどでした。
 先日「マンマミ−ア」を観ましたが、舞台に描かれているのは、
 まさに私が見た、懐かしのエーゲ海でした。

 食べ物は、網の上で魚介を焼いただけの物に、レモンを絞って食べるのですが、
 採れたての新鮮な材料は、ものすごく美味しかったです。
 フランス料理は、こういう物には絶対に勝ません。
 
 アテネはとても治安の良いところで、人々は穏やかでフレンドリーです。
 エーゲ海に行く機会があれば、あわただしく通り過ぎるのではなく、
 ミコノス島かクレタ島だけに滞在し、1ケ所のホテルでのんびりするのがよいでしょう。
 癒されることまちがいなしです。

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